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厩舎前に停車した馬運車のそばに立つ鹿毛馬と、引き綱を持つ人物、書類を確認する二人
October 20, 2026
1 min 読了時間

海外で馬を買う前に、日本の輸入検疫は何を確認すべき?

SportHorses.jp 編集部

輸入検疫 (yunyuu keneki) 動物検疫所 (doubutsu kenekijo) 馬の購入 (uma no kounyuu) 馬輸送 (uma yusou) 飼養管理 (shiyou kanri)
海外の馬を日本へ迎える前に、国別の輸入条件、事前届出、到着後の係留をどう確認するか。動物検疫所の資料をもとに、購入者が契約前に整理したい工程と担当者を解説します。

海外で購入する馬の輸入検疫は、売買契約や航空便の手配より前に、日本へ輸入できる条件と手続の順序を確認することから始めたいものです。血統や競技成績が希望に合っていても、その馬を予定どおり日本の厩舎に迎えられるかは、別の確認事項です。買い手としては、輸出する国、馬の用途、到着予定、担当者を整理し、動物検疫所に相談するための資料を先にそろえるのが堅実です。

動物検疫所の「馬の家畜衛生条件」は、令和8年10月15日更新のページで、輸入条件を国・地域別、用途別に掲載しています。一方、輸入動物の検査手続の案内には、ページ本文に更新日の表示がありません。本稿では前者を確認の入口とし、後者の手順や期限は「案内に記載された内容」として紹介します。実際の購入では、その馬に適用される条件と最新の運用を動物検疫所に確認してください。動物検疫所「馬の家畜衛生条件」・「輸入動物の検査手続」

最初に、どの国から輸入するかを確認するのはなぜ?

国ごとの条件や輸入停止の記載を見落とさないためです。動物検疫所の令和8年10月15日更新の一覧では、オランダの欄に「ウエストナイル熱の発生により、輸入を一時停止しております」と記載されています。購入候補がオランダにいる場合は、輸送を前提に契約を進める前に、該当する状況を動物検疫所へ確認する必要があります。動物検疫所「馬の家畜衛生条件」

同じ一覧には、通常の「馬」のほか、「日本で開催される国際交流競走に参加する馬」「海外で開催された国際交流競走に参加した馬」「馬術・公演等のために一時的に輸入される馬」という区分があります。日本で継続して飼養するための購入と、一時的な来日とを、同じものとして読み進めないことが重要です。動物検疫所「馬の家畜衛生条件」

買い手が整理したいのは、広告上の品種名だけではありません。「馬が今どこにいるか」「どこから日本へ送り出す予定か」「日本へ来る目的は何か」を、売り手や輸送担当者と同じ言葉で共有しましょう。血統登録の名称だけを見て輸出国を決めつけず、不明な点は不明としたまま相談資料に残す方が安全です。

ただし、一覧ページを読んだだけで国別の詳細条件まで確認できたとはいえません。条件本文へのリンクにはPDF形式のものがあります。本稿ではそれらの本文を根拠に、個別の検査項目、接種要件、必要な滞在期間を説明していません。対象となる馬について、どの条件を読むべきかを動物検疫所に尋ねてください。動物検疫所「馬の家畜衛生条件」

馬を選ぶ判断と、日本へ迎えられることの確認は、分けて進める。

事前届出と輸入検査申請は、どう違う?

動物検疫所の手続案内では、事前届出と輸入検査申請は、期限も役割も異なる手続として説明されています。馬の事前届出の提出期限は「到着予定日の120~90日前まで」、輸入検査申請書は、動物を搭載した船舶又は航空機が「入港する7日前まで」に提出すると記載されています。このページには更新日の表示がないため、案件ごとの期限と提出方法は事前に確認してください。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

確認する段階 手続案内に書かれていること 買い手が整理したい点
輸入の事前届出 馬は到着予定日の120~90日前までに提出 希望する到着時期と届出担当者
届出後の変更 変更が生じた場合は速やかに変更届出が必要 誰が変更を把握し、誰に伝えるか
輸入検査申請 船舶又は航空機の入港する7日前までに提出 申請担当者と必要資料の所在
係留検査の準備 家畜防疫官との打ち合わせを行う 管理人、書類、引き継ぎの準備

表の期限と手続は、いずれも更新日表示のない動物検疫所の案内に基づきます。また、同案内では、動物検疫所長が輸入の時期及び場所の変更を指示することがあるとされています。希望便を決めたことと、輸入計画全体が確定したことを同一視しないでください。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

購入を検討する段階では、売り手に引き渡し希望日を伝えるだけでなく、その日が何を意味するかを明確にしたいところです。売り手の厩舎を出る日なのか、日本に到着する日なのか、購入者側の厩舎に入る日なのか。この区別が曖昧なままでは、関係者がそれぞれ違う予定を思い描いてしまいます。

輸送の相談を第三者に任せる場合も、買い手側で工程表を一枚持つことを勧めます。各手続の担当者、回答待ちの事項、未確定の日程を分けて書けば、「手配中」という一言に何が含まれているかを確認しやすくなります。これは法定様式ではなく、連絡の行き違いを減らすための実務上の整理です。

航空機が着いたら、そのまま自分の厩舎へ運べる?

少なくとも手続案内は、到着後すぐに購入者の厩舎へ向かう流れにはなっていません。動物検疫所の案内では、到着した動物について船舶・航空機内で検査を行い、取り卸して問題がないと判断された場合に、係留場所への送致指示書が出されます。その指示書により、係留施設への搬入手続である税関の手続を済ませると説明されています。更新日表示のない案内のため、実際の到着港での作業は担当部署に確認してください。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

同案内では、係留施設に収容された動物は、規則に基づく期間係留され、家畜防疫官による検査を受けるとされています。検査結果から監視伝染病の病原体を拡散するおそれがないと判断された場合に、輸入検疫証明書が交付されます。本稿では、馬の係留期間を一律の日数で示すことはしません。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

係留の延長についても確認が必要です。案内には、検査で監視伝染病の病原体を拡散するおそれがあると判断された場合は、その疑いがなくなるまで係留が延長されると記載されています。回復が見込めないものについては、返送又は殺処分されるとされています。「予定どおり搬出できる」ことを無条件の前提にして契約や受け入れ準備を組むべきではありません。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

ここで分けたいのは、行政上の検査を終える見通しと、新しい環境での調教を始める計画です。競技目標を先に置くより、まず受け入れ厩舎と相談し、搬出予定が変わった場合の連絡方法や馬運車の調整役を決めておきましょう。輸入直後の出場を約束するのではなく、馬の状態を見て計画を見直せる余地を残す考え方です。

係留中の世話は、誰に任せることになる?

動物検疫所の案内では、収容作業と係留中の飼育管理は、家畜防疫官の指示に基づき、申請者が届け出た動物管理人が行います。また、係留施設は原則として動物管理人以外の者は立ち入れず、理由があって立ち入る必要がある場合は、家畜防疫官に届け出て許可を得ると説明されています。買い手が自由に訪問して世話を引き継げる、とは考えないでください。具体的な運用は担当部署への確認が必要です。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

同案内では、毎日の体温測定や、採血など検査材料を採取する際の補助作業についても、動物管理人の協力を求めています。購入者としては、担当する管理人への連絡窓口と、馬の状態について誰から報告を受けるかを、輸送担当者と確認しておきたいところです。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

引き継ぎ資料には、普段の取り扱い方、飼料について相談したい点、獣医師に伝えたい既往歴などを整理することを勧めます。売り手の説明と診療記録の内容を混ぜず、記録で確認できたことと、口頭で聞いただけのことを分けておくと、受け取る側が判断しやすくなります。必要な管理方法は、関係する獣医師や管理担当者と相談してください。

「おとなしい」「輸送に慣れている」という説明にも、買い手の解釈が入り込みます。どのような状況で、誰が見た評価なのかを聞き、説明の背景を残しましょう。扱いやすさを保証する資料にするのではなく、担当者が馬を理解するための情報として引き継ぐ姿勢が大切です。

契約前には、何を一枚にまとめればよい?

輸入可否の確認事項、担当者、費用の範囲、予定変更への対応をまとめると、交渉の抜けを見つけやすくなります。以下は本稿が提案する買い手用のチェックリストであり、行政上の必要書類を網羅したものではありません。

  • 馬の個体識別情報と、売り手が提示する書類の一覧。
  • 現在の所在、輸出予定国、日本へ迎える目的。
  • 適用条件について動物検疫所に確認した内容と、未回答の質問。
  • 事前届出、輸入検査申請、輸送、管理の担当者と連絡先。
  • 見積もりに含まれる作業、含まれない作業、追加費用の扱い。
  • 予定変更、係留延長、引き渡し遅延が起きた場合の協議方法。
  • 日本側の受け入れ厩舎と、搬出後の輸送を調整する担当者。

見積もりを比べる際は、総額の大小より先に、どの工程まで含まれているかをそろえて比較しましょう。「輸送費」という項目の名前だけで、書類準備、管理、国内輸送まで含むと解釈しないことです。費用の負担や契約条件について判断に迷う場合は、契約を扱う専門家にも相談してください。

書類上の確認と、馬そのものの評価も分けます。輸入手続の準備が進んでいることは、購入者との相性や目的への適合を示すものではありません。反対に、試乗で好感触だったことも、輸入条件を満たす裏付けにはなりません。それぞれ別の確認欄を作るだけで、判断の混同を避けやすくなります。

日本側での競技準備については、関連する購入後の乗馬登録で確認したい項目も別の確認リストとして参照してください。輸入の工程表に、登録や調教の予定をすべて押し込めるより、段階ごとに整理する方が、未完了の作業を把握しやすくなります。

よくある疑問:購入判断では何を分けて考える?

海外の売り手が「日本向けに出せる」と言えば十分?

それだけで買い手側の確認を終えないことを勧めます。動物検疫所の条件一覧には国別・用途別の区分と輸入停止の記載があるため、対象となる馬の計画を示し、どの条件が適用されるかを確認してください。動物検疫所「馬の家畜衛生条件」

到着日が変わったら、連絡だけでよい?

更新日表示のない手続案内では、事前届出の提出後に届出事項が変わった場合、速やかに変更届出書により届け出る必要があるとされています。どの変更が生じたかを担当者と共有し、必要な手続を動物検疫所に確認してください。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

検疫で問題がなければ、購入前検査は不要?

目的を分けて考えてください。輸入手続の案内で説明されているのは、監視伝染病の病原体を拡散するおそれに関する検査と処置です。購入目的に合う健康状態かどうかは、それとは別に獣医師へ相談する事項として整理しましょう。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

日本の厩舎へ入る日を先に確約してもよい?

確約の前に、予定変更時の扱いを協議することを勧めます。動物検疫所の案内には輸入時期・場所の変更指示や係留延長の説明があり、航空便の到着だけで全工程の完了を約束することは避けたいところです。動物検疫所「輸入動物の検査手続」

馬を迎える準備の質は、予定が変わったときにも表れます。分からない点を埋めずに残し、誰が確かめるかを決める。その整理ができてから購入候補を比べると、血統や演技だけでなく、引き渡しまでの説明の明確さも判断材料になります。次の検討には、馬選びと競技準備の関連記事を、確認項目を整理する手がかりとしてお役立てください。